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#20-風邪を引く

 永住や一週間程度の旅行ならまだしも、こうして決して短くはない期間を海外で生活するにあたって優先的に気をつけなければならないことは、やはり体調管理である。

 特にメキシコの空気は慢性的に乾燥していて、どこを歩いても排ガスの臭いが染みついているほど汚い。しかも、海沿いを除いた内陸部ともなるとどこも標高がかなり高い故に空気が薄く、一日の寒暖の差も“一日で四季を味わえる”と言われているくらい激しい。
 参考までに11月のメキシコシティの気温を調べてみたら、最高気温が25度くらいまでは上がるが最低気温は10度以下まで下がるという具合なので、日中は半袖で問題なくても朝晩は厚手の上着が必要なくらい冷え込むことがデフォルトなのだ。
 ただ、現在の居住地であるCuernavaca(=クエルナバカ)“常春の街”と言われているほどに過ごしやすい気候ではあるが、それでも朝晩は半袖だとちょいと厳しい気温まで下がってしまうので、日本と比べればやはり寒暖の差が激しいことには変わりはない。

 当然ながらそういう環境に慣れない限りは体調を崩しやすいし、治るまでにもけっこうな時間がかかるだろう。


 また、海外生活の経験が豊富でない限りは外国で体調を崩すとフィジカルだけでなく、メンタル面にもかなり影響してしまうようだ。

 当時のクラスメイトの一人は入国早々に体調を崩してしまい、クエルナバカの病院で入院することになってしまったのだが、曰く入院中はとにかく心細くなってしまったためにホームシックにかかってしまい、すぐにでも病院を抜け出して日本に戻りたくなってしまったそうだ。
 まあ、その人の場合は1週間弱で退院できたので大事には至らなかったのだが、本人にとっては初めての海外留学だったということと、滞在の序盤でそういう事態になってしまったため、完治したといってもメンタル面での影響は大きかったようで、最後まで精神的に楽しむ余裕を持つことなく全日程が終わってしまったばかりか、メキシコという国に対して軽いトラウマを持つようにすらなったという。

 まあ、現実的にはジャングルの奥地にいるわけではないし、メキシコといえども極端な田舎でもなければ医療設備はそれなりに整っているし、メキシコの医療レベルは周辺の中米国と比較すればそれなりに高いらしいので、多少の体調不良であればあまり心配する必要はない。
 しかしながら、なまじっか世界最高峰とも言われている日本の医療レベルが当たり前な環境で暮らしてきた身となると、やはりどこであろうと外国の病院事情は未知数だし、医療事情はともかく先進国ではないということも不安要素の一つだし、完治したいのなら自分の症状や体質なんかも現地の言葉で正確に伝えられる語彙も覚えておかなればならないし、やはり異国ということで頼れる人の数が少ないということで、よりネガティブに考えてしまうということだろう。

 ……まあ、どのように受け止めてしまうかは個人で異なるだろうが、要は風邪程度でもそこまで不安になりかねないということでもあるので、それこそ外科的な手術が必要なほどの病に冒されてしまったら、それなりに肝が据わっている人でも落ち込んでしまうことは十分にあり得るということだ。



 そんなわけでぼくも体調管理にはそれなりに気をつけていたのだが、多少なりとも日常生活に支障をきたすレベルで風邪を引いてしまった時期があった。
 その頃はとにかく咳が止まらず、力を入れて息を吐くとゼーゼー言うようになっていた。しかもクエルナバカはとにかく坂が多く、平地の部分はほとんどないのでちょっとの徒歩移動でも途中で休憩したくなるほど体力が落ちてしまった。幸いにも寝込むほどではなかったが、それでもいつもより若干の熱っぽさは感じていたし、食欲も今までよりは落ちていた。


 正直なところ、心当たりは思いっきりある。
 例えば、風呂上がりの夜風があまりにも気持ち良かったのでろくに濡れた髪も拭かないまま長時間当たっていたとか、薄着のまま窓を開けっ放しで寝てしまったとか、空気が汚いことがわかっていてもろくすぽうがいもしなかったとか(うがいに関しての信頼度は諸説あるが)、それでいていざ風邪を引いてしまったら「タバコはいつものより軽めのやつに変えて本数もなるだけ少なくする」くらいの対処法しかしていなかったので、なるべくしてなったというやつであり、要は体調管理になんか一切気を遣っていなかったということである。


 さすがにこの状況はマズイので病院に行こうかとも思ったが、正確に病状を伝えられる自信がなかったのでまずは民間療法で様子を見ることにした。


 まず食事に関しては、タコスとかハンバーガーといった脂っこいものを極力避けて、野菜スープとか日本から持参したインスタントの味噌汁を摂るよう心がけた。メキシコでは貴重なはずも味噌汁も、いつでも飲めると思ったらまったく飲む気にはなれなかったが、ようやく手をつける時が来たようだ。

 また、風邪といえば大量のビタミン摂取である。
 幸いにもメキシコは安くて新鮮で芳醇なフルーツが文字通り腐るほど出回っているので、オレンジを中心にマンゴーとかリンゴをしこたま買い込み、いつもより多めに食べてみた。
 そして、風邪にはやっぱりニンニクだろうということにもなったので、食事の度に最低一粒を目安に食べてもみた。
 同時に水分補給にも気を配り、なるべくスポーツドリンクを飲むようにした。といっても当時はゲータレードくらいしか出回っていなかったが、売っていない以上は仕方がない。


 しかしながら、フルーツを食べるということは予防対策や栄養補給の一環でしかないので、大量に食べたからといってすぐ治るはずもない。一部ではあのプルーンだったらガンも治ると言い張ってる輩がいるらしいが、フルーツごときで治るのなら世に「風邪」なんて病気が存在するはずもない。

 そしてニンニクに関してはかなり予想外の展開になり、体調に関係なくアッチの方がヤバいくらい大変なことになったので早々にやめた。

 それにスポーツドリンクに関してももただの気休めでしかないばかりか、当時のメキシコのゲータレードはどれも色がけっこうな原色な上に過剰に甘いので、逆に悪化しそうな気がしたのでこれも早々にやめた。


 ……やっぱりフルーツやスポーツドリンクだけでは埒があかないので、このタイミングで日本から持参した市販の風邪薬を飲むことにした。しかし多少緩和した気がすることはあっても、大した効果が出ているようには思えなかった。


 そこで、「きっとこれはメキシコで体調が悪くなったから日本の薬が効かないからで、現地の薬だったら治るかも……」という結論にいたり、セントロ(=繁華街)に行ったついでにドラッグストアで風邪薬を買うことにした。

 
メキシコ, 薬局, ドラッグストア, 外観
メキシコのよくあるドラッグストアの外観。薬だけでなく日用品とか飲料水とかアイスとかも売っていることも多い。

メキシコ, 薬局, ドラッグストア, 店内
ドラッグストアの店内の一例。場所によっては日本のドラッグストアのようなレイアウトの店もあるらしいが、個人的にはこぢんまりとした店の方に馴染みがある。


 因みにぼくが知る限りでは、当時のメキシコのドラッグストアはどこも対面販売でカウンターにいる薬剤師にある程度症状を説明をしなければ買えないシステムだったのだが、行った時はどの薬剤師も他の客の対応をしていたので待たなければならなかった。

 その間、何気なくカウンターの陳列棚に並んでいる商品を見ていたら、男性用避妊具が目に入った。

paquete_preservativo_m.jpg
メキシコの避妊具。画像をクリックするとモザイク無しの高画質画像が閲覧可能


 まあ、現実的には避妊具を一切必要としていない生活を送っているので見るだけムダなのだが、どれもパッケージのデザインがなかなか特徴的に思えたのでついつい凝視していたらちょうど手が空いた薬剤師らしき女性と目が合い、「あら、避妊具をご所望なの?」という感じで声をかけてきやがった。

 もし体調が悪くなければ反射的に「特大サイズのヤツをくれたまえ」などと誰も得しない見栄を張るところだが、はっきり言ってそれどころではないので正直に、「No, estoy buscando una medicina de toz.(=直訳すると「いや、咳の薬を探してる」というようなニュアンス)と伝えた。
 すると彼女は咳の頻度とかいつから咳が出るようになったかを聞いた上で、「それならこれがオススメよ」というような感じで咳止め薬を渡された。薬剤師がそれを勧めた以上は選択肢がないので、言われるがままにそれを買った。
 開けてみると錠剤タイプで、座薬より一回り小さい程度の大きさである。彼女曰く「1回2錠」とのことだったので、早速飲んで様子を見ることにした。


 その後は適当に昼食を摂ってからバス停で帰りのバスを待っていたのだが、いきなり立つことすらおぼつかなくなってしまうほど眠くなった。緩やかにだんだんと眠くなったわけでなく、それこそ催眠術師に「今からあなたはとても眠くなります」と言われたようなタイミングで唐突かつ強烈な睡魔に襲われた。
 バスの中で寝てしまおうものなら、最悪誰かに身ぐるみを剥がされかねないので必死に眠気をガマンして何とか現在の居住地であるスペイン語学校の寮に到着。部屋のドアを開けるやすぐにベッドに横たわると、我に返った時には既に外はけっこう薄暗かったので、何だかんだで5時間近くは完全に熟睡していた。


 どう考えても、この眠気は薬の副作用だろう。
 ここまで強いと風邪薬というよりはただの睡眠薬でしかないし、そもそも症状を緩和する成分が入っているというよりは、むしろ「とりあえず眠らせときゃ症状は感じないだろう」という理屈で作られたとしか思えない。確かに睡眠も大事だし、体調不良の時は眠りも浅いものだが、そこだけをピンポイントに攻めるのもかなり実に乱暴だろう。
 したがって、その後は眠気を懸念して1錠に留めたがそれでもけっこう強い眠気に襲われたので、更に半分に割って1/2錠にしてみた。しかしその量ですら眠気は避けられなかったのだから、相当強い薬だったのだろう。


 この頃は「外国の薬は大雑把だな」と思ったが、今にして思えば日本人の体質や日本の薬の成分も影響しているであろうことを差し引いても、やはり国の医療事情がけっこう影響しているのではないかと思っている。

 結局のところメキシコで病院に世話になったことはないのだが、何せ大国といえども裕福ではないので特に貧困層の国民にとっては医療費というのは相当な負担だろうし、保険に入るにもそれなりの費用はかかるのだろう。聞いたところによるとメキシコ人の25%は無保険らしいので、そういう人が体調を崩したら市販薬に頼らざるを得ないだろうし、製薬会社としても強い方が売れるという思惑もあるのだろう。

 そういえば、このページで触れているようにメキシコのテレビ局はネット配信とかストリーミング放送に積極的なので、今でもたまにWeb経由で現地のテレビ番組をBGV代わりにしているのだが、けっこうな頻度で鎮痛剤のCMを見かけるのもそういう背景があるのだろう。


メキシコの鎮痛剤(というか頭痛薬)のCMの一例。



 余談だが、確かアメリカも似たような事情で市販薬はたいてい強いらしく、若者がトリップ目当てで咳止めシロップを大量に服用するとか、煮しめれば簡易的な麻薬になるので悪い小遣い稼ぎに利用する輩が後を絶たないというようなことも聞いたことがある。
 そう考えると、確かに3割の負担は軽くはないし処方薬もジェネリックを除けば決して安いとも思えないが、それを差し引いても日本の医療保険システムはものすごく優秀な気がしてきた。


 そしてもう一つ思ったことは、日本には薬以外で病気を予防したりケアする商品の選択肢が非常に多いということだ。

 例えば体調不良による食欲不振に陥っても、消化に良い即席の流動食とか栄養価の高い非常食はたくさん出回っているし、風邪対策にしてもパックのショウガ湯とかタマゴ酒も普通に手に入るし、更には小型の加湿器とか鼻洗浄器とか冷却シートなどなど、対策グッズが有象無象に出回っているのは凄いことなのではとも思う。
 尤も、その手のグッズをメキシコで本格的に探したことはないのでもしかしたらそれなりに出回っているのかもしれないが、少なくともメキシコには東急ハンズとかLOFTのような大型の雑貨専門店はないので、日本ほどいつでも気軽に手に入るわけではないのは間違いないだろう。


 そして更に言えば、何だかんだで和食は医食同源と言われるほどに免疫のつくメニューや食材が豊富にあるわけで、食文化としてもかなり優秀な気がすることを考えるとやはり日本は恵まれているなとつくづく思う。


 因みに風邪は、咳止め薬を全て飲みきる前にいつしか治っていたので結果オーライにはなったが、間違った使い方なのは承知だから何があっても誰にも文句は言わないという前提の下、残りは眠れない時の非常用としてその後もたまに使わせてもらった。もちろん自己責任なのでそういう使い方は一切奨励しないが。



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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : メキシコ留学体験記2 メキシコの風邪薬 メキシコの薬局 メキシコの避妊具

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Author:800ランプ
ルチャリブレがきっかけでメキシコに興味を持つ。
20世紀末、突然そのことを思い出しメキシコへ。民間の語学学校で言葉を学びつつ、運の良さも手伝って浮世を忘れるほどの生活を満喫。
以降も帰国してはお金を貯めては渡墨し、また帰国してお金を貯めては渡墨ということを繰り返していたら、社会のレールから脱落したので日本に落ち着く。
しかし先日、わけあって現実逃避もかねてまた渡墨。今回の日記はそのときのもの。

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