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#05-映画より大切なもの

 このページでの出来事とはやや前後して、ぼくが再入国してすぐの水曜日。
 日本人生徒仲間のヒロ・タツ・タカコさんも含め、授業が終わったら皆で映画を見に行こうという話になった。

 何でもメキシコでは毎週水曜日は“映画の日”で、どこの映画館でも 通常の半額で見られるという。
 といっても、メキシコの場合は元々の映画代が40ペソ弱(当時のレートで400円弱)だったのだが、映画の日なら200円程度というかなり破格のお値段で観賞できるということになる。日本で映画を見ようものなら平気で2000円弱はかかるので、彼らはここぞのばかりに見まくっているらしい。

 まあ、映画を見るということの目的の何割かは勉強の一環であろう。映画で出てくるようなセリフの言い回しや単語は参考書に載っていないことがままある割には日常生活でけっこう使えたりするので、いわゆる“生きた言葉”を覚えるにはなかなかのソフトだろう。

 そんなわけで各々が昼飯を済ませてから再び学校に集合したのだが、このうちの誰かが「じゃあタクシーを拾うか」と言い出した。

 てっきり、Centro(=セントロ・繁華街)に小さい映画館があると聞いたことがあるのでのでそこにRuta(=ルタ・路線バス)で行くのかとばかり思っていたが、ここからセントロなんて直線距離で2kmもないので、タクシーで行くには少々大げさである。確かにタクシーだったらルタよりも速く着くが、4人の相乗りでも一人頭の額はルタよりも高くつく。この頃はなぜかぼくらの間で“出費は1ペソでも安くすませるのが美徳”という風潮が少なからずあったので、わざわざタクシーを使おうとすることに違和感を覚えた。


 そんな疑問を抱えつつも誰かが流しのタクシーをつかまえ、運転手と値段を交渉してから乗り込んだのだが、目的地はセントロの映画館ではなかった。
 ここまで来ると窓から見える景色は一切見覚えはなく、未知の領域に入っていることだけはわかった。そして大きな幹線道路沿いの人の多いエリアで降りたのだが、こんな遠くまで来たことないしそもそもここは一体どこ?

 降りてみるとそこの敷地はかなり広く、敷地内には大きなスーパーマーケットがあって、その隣にこれまた大きな映画館の看板が見えた。どうやらちょっとしたショッピングモールのようで、3人はいつもここで見ているらしい。

cinemex, メキシコの映画館,シネメックス,マイカル
こんな感じの映画館



 この映画館はCinemex(=シネメックス)という全国展開している映画館で、要するにマイカルシネマとかMOVIXである。ぼくの印象では、この時点でのメキシコの風景は全体的に昭和40~50年代の日本を思わせる古めかしさを感じていたが、ここだけは実に近代的でトーンもまんまアメリカなので、何だか不思議な気がしたものだ。


 中に入ってみると、国内制作映画の他にも普通にハリウッドの新作映画も多数上映しているみたいなので、選択肢は多そうだ。どうせなら『やわ肌の牝猫・夜のエクスタシー』とか『実録女秘書・果肉のしたたり』みたいなのをリクエストしたいところだが、どうやらその手の映画は上映していないらしい。というか、本当に上映していたら支配人の頭がどうかしてるとしか思えないし、むしろ違う意味で見てみたい

 結局、ぼくらは国内制作らしき映画を見ることになった。メキシコにいるのだからメキシコ映画を選ぶのはある意味当然のことだ。尤も、この時点ではぼくがみんなを代表して何かを選ぶ権利なぞ一切ないので、決定事項には無条件で「¡Sí Señor!(=イエッサー)」と従うまでである。


 とりあえずチケットを買ったものの、次の上映までまだ時間があるようなのでロビーで待つことに。とはいいつつもただボケッとしているのは退屈なので適当に館内をふらついてみると、隅の方にあるこぢんまりとしたゲームコーナーを見つけた。ちょいとメキシコのゲーセン事情に興味があったので近づいてみたら、そこには懐かしの『ハングオン』があるではないか

HANG ON,ハングオン,SEGA,セガ,レトロゲーム,体感ゲームハングオン
1985年に登場したSEGAのゲームで、当時としては画期的だった体感ゲームの走り。左画像のバイクがコントローラの役割を果たしていて、ハンドルにあるのがゲーム画面。
またがって車体を傾けることで画面上の自キャラを操作し、コースをひた走る。



 更に他の筐体を見てみると、「近所の小さいゲーセンでデモ画面を見たことがあるかも」くらいの知名度しかないと思われる『スノーブラザーズ』『タンブルポップ』も発見。まさか今は亡き東亜プランとデータイーストのロゴをメキシコで見るとは夢にも思わなかったので、かなり驚いた。

Snow Brothers,スノーブラザーズ,東亜プラン,レトロゲームスノーブラザーズ
1990年に東亜プランから登場した固定画面型アクションゲーム。敵を雪で固めてから蹴り倒したり、雪玉を転がして敵を倒すのが目的。画面内の敵キャラを全て倒すとステージクリア。敵を倒すとパワーアップアイテムの他に、なぜか寿司とか祝儀袋が出る。

Tamble Pop,タンブルポップ,DECO,データイースト,レトロゲーム,ゲーセンタンブルポップ
1991 年にデータイーストから登場した固定画面型のアクションゲーム。敵を掃除機で吸って吐き出したり、吐き出した敵の塊を転がして敵を倒すのが目的。画面内の 敵キャラを全て倒すとステージクリア。吸ってから一定時間以内に吐き出さないと掃除機のタンクが破裂してミスする。



 恐らく、これらのゲームはメキシコで人気があるから置いてあるわけではなく、単純に業者が別の人気ゲームの基盤を買った際に抱き合わせで買わされたものか、どこかのルートでタダ同然で手に入れた中古品だろう。こういう古いゲームが駄菓子屋とかではなく超近代的な映画館で普通に稼働している様を目の当たりにすると、やはりこの国も古い時代を生きているのだなと思ってしまう。
 というか、みんなが映画を見ている間にこれらのゲームを遊んでいたいと本気で思ったが、さすがにそんな要望を出す勇気なんてさらさらないので、後ろ髪を引かれる思いで上映時間を待つことにした。

 そして何だかんだで時間になったので本来の目的である映画を見ることになったのだが、この時点ではまだスペイン語の基盤すらまともに出来上がっていないので、映画の内容は全く理解できないし、今となっては一切記憶にない。かろうじて覚えていることは、人間模様を描いたヒューマンもののようで、視界に入る端々のシーンを見ながら、「何か汚くて狭い部屋だな。メキシコの安アパートの部屋はどこもこんな感じなのかな?」とか「タバコを吸いながらベッドに横たわるなんて危ないな。火事にならなきゃいいけど」とかいつもこの二人はイチャイチャしてるな。そういう文化なんだろうけど、はしたないったらありゃしない」といったことを断片的に思いながら見ていたことだけである。そのため、他の3人はともかくぼくにとっては勉強の一環にすらなっていないのだが、とりあえずぼくに出来ることはこの映画が終わるのをひたすら座って待つことだけだ。


 そんなこんなで映画も終わったのだが、帰りしなに他の3人は映画の感想を言い合っている。

 「なかなか良い映画だったね」
 「でも、主人公は何であの場面で“○○○○○○”って言ったのに相方を裏切ったのかな?」
 「ああ、そこは“○○○○○○”じゃなくて“×××××××”って言ってたから辻褄は合ってるはず」
 「そうか。だとするとヒロインがあのタイミングで旅に出たのかが納得いかないな」
 「あそこは前のシーンで相棒の兄貴が駆け落ちの話を持ちかけて、それから……」


 ていうか、あんたたち、すげーな!

 当然ながらぼくはこの会話には一切ついて行けないので、館内が暗いのをいいことに「入国してまだ日も浅いから相変わらず時差ボケが続いてるみたいで、つい寝てしまった」ということにしたので公然とこの会話に入らずにすんだ

 正直、この3人はもうスペイン語はかなりペラペラなのはわかっていた。休み時間とかで講師と話してる様を見ていても相当マスターしているのは明らかだったし、元々彼らはここに来る前にスペインとか別の国の語学学校でがっつりとスペイン語を学んでいたみたいだから、むしろこの時点での彼らは語学を学ぶというよりもボキャブラリーをもっと増やすとかネイティブと同等のスピードで会話するといったレベルにいるわけだ。


 ともあれ、彼らがCuernavaca(=クエルナバカ)を去った後もこの映画館には何回か行ったのだが、ぼくの場合は映画で語学力を高めるという方法はどうも適さないことに気づいた。 
 というのも、個人的に映画を見るという習慣があまりないということもあるのだが、どうしても自分に直接関係のない話題には理解力が急激に乏しくなるからである。尤も映画に限らず、ドラマとかニュースとか公共の場のアナウンスのような、一方的に情報を受信しなければいけないような状況だと、現時点ではかなり単語を忘れているということを差し引いても、現在進行形でちんぷんかんぷんである。要は、これがバカの壁というやつなのだろう。
 しかしその反面、自分にはネイティブと積極的に会話するといった身体で覚える方法がけっこう合っていると悟ったのはもう少し後になってからのことだ。

 しかしながら、これを機に行動範囲は一気に広がったので連れてってくれた3人には今でも感謝している。


 因みに、映画館の隣にあるスーパーというのがこれである。
comercial mexicana, コメルシアル・メヒカーナ,メキシコ,スーパーマーケット,百貨店
Comercial Mexicana(=コメルシアル・メヒカーナ)
メキシコシティに本社を置く大型スーパーチェーンで、国内のありとあらゆる場所に出店している。食料品だけでなく衣類・調理器具・家電・オーディオ・おもちゃ・工具・文具などあらゆるものを豊富に取り揃えているので、大抵の買い物はここで事足りる。




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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : メキシコ留学体験記2 ハングオン スノーブラザーズ タンブルポップ メキシコの映画 Cinemex シネメックス メキシコのスーパー

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Author:800ランプ
ルチャリブレがきっかけでメキシコに興味を持つ。
20世紀末、突然そのことを思い出しメキシコへ。民間の語学学校で言葉を学びつつ、運の良さも手伝って浮世を忘れるほどの生活を満喫。
以降も帰国してはお金を貯めては渡墨し、また帰国してお金を貯めては渡墨ということを繰り返していたら、社会のレールから脱落したので日本に落ち着く。
しかし先日、わけあって現実逃避もかねてまた渡墨。今回の日記はそのときのもの。

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