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<番外編>San Francisco(サンフランシスコ)旅行記#1-「チャ、チャイニーズめ!」

今回の移動
カリフォルニアの地図(クリックで大きくなります)



ユニオンスクエア サンフランシスコ San_Francisco Union_Square
San Fransisco(サンフランシスコ)
アメリカはカリフォルニア州の北に位置する都市で、西海岸屈指の世界都市。観光地としても人気で、ゴールデンゲートブリッジとかアルカトラズ島などが有名。NFLの49ersやNLBのジャイアンツ、NBAウォリアーズの本拠地としてもおなじみ。人口約805,000人。



 メキシコシティ最後の夜をホテルでひっそりと過ごしたわけだが、今朝は7時の飛行機に乗らなくてはいけないため、朝5時までにメキシコシティ国際空港にいないといけない。
 昨夜フロントに聞いてみたら、このホテルから空港まではタクシーで30分くらいというので、4時30分には出なければならない。
 そして時間にロビーに行ったら、手配してもらったタクシーはスタンバっていたのでそのまま乗る。本当にこれでメキシコとはおさらばだ。

 名残を惜しみつつ、タクシーから外の景色を覗いてみる。
 大都会のメキシコシティも夜明け前ではさすがに車も人の通りはかなり少なく、どの道路もガラガラだ。朝から晩まで慢性的な渋滞に悩まされ、絶え間なくクラクションやエンジン音が鳴り響いている場所とは思えない静けさが窓越しに伝わってくる。

 そして、ガラガラの道路とドライバーの酔狂な運転の甲斐あって、所要30分のはずがわずか10分で空港に到着。いくら道路が空いてるからといっても話が違いすぎだ。

 それにしてもまだ朝の5時前だというのに、空港には人が多い。
 大きなトランクを転がしている旅行者、カフェでコーヒーを飲みながらノートPCを広げているビジネスマン、足早に目の前を横切る航空会社の従業員、搭乗ゲート前で別れを惜しむ家族、床をモップで拭いている清掃員など、有象無象の人がそれぞれの目的を持ってここにいる。空港でこういう光景を見ると、「ああ、人の数だけ人生があるのだな」と思っわずにはいられない。

 さて、予定より大幅に早く来たせいか搭乗手続きもスムーズに進んだため、よりヒマを持て余す時間が増えてしまった。とりあえずは最後の晩餐として腹ごしらえをするとしよう。
 ここはやはりメキシコの国民食であるタコスでシメるのが真っ当だろう。構内にタコスショップを発見したので、そこで売っていたチョリソ(辛口ソーセージの中身)を食んでみる。

メキシコ最後の晩餐(クリックで大きくなります)
最後の晩餐となったTacos de Chorizo(=タコス・デ・チョリソ<辛口ソーセージの中身>)。ここぞとばかりに玉ねぎのみじん切り、トマトのみじん切り、ライム汁、チリソースをたっぷりかける。今思えばかける前に撮れば良かった。



 その後も適当に時間をつぶしていたら時間になったので搭乗ゲートへ向かう。

 とりあえずメキシコはもう最後だが、このまま日本に直行するわけではない。
 実は日本に帰る前に、経由地であるサンフランシスコで2泊するのだ。言ってみればオマケの旅行である。

 しかし、サンフランシスコにあたってはいくつか問題がある。

 まず、そこには誰も知り合いが住んでいないこと
 いくら観光地とはいえ、まったく土地勘がない大都市を誰にも頼れることなく一人で行動するというのはそれなりの覚悟は必要だ。


 そして、実はあまりサンフランシスコのことを知らないことだ。
 そもそもは購入した航空券は「経由地で数泊しても即日乗換でも値段は一緒」というだけで2泊くらいしてみようと思ったのだが、よくよく考えるとゴールデンゲートブリッジとかアルカトラズ刑務所とかがあるらしいということや、アメリカの人気アニメ『SOUTH PARK』によると、ハイブリッドカーに乗ることがエコだと思っているエセエコロジストが住んでいる場所、そしてクエルナバカでお世話になった友人のマヌエル曰く「ゲイしか住んでいない街」という知識しかない。

(『Southpark』の出典に関しては、英語がわかる方ならコチラを参照)

 さらに致命的なのは、大して英語が話せない上に英語の辞書を持ってきていないことだ。
 全く分からないというわけではないが、高校以来まともに勉強した記憶がないので語学力は心もとない。とはいえ、サンフランシスコにもラテン系移民は多いというし、有名な観光地ゆえに日本人に出くわす機会もメキシコに比べれば圧倒的に多いだろう。なのでそれに賭けるか、時と次第によっては場面で乗り切るしかない。

 まあそれでも行ったら行ったで何かしらあるだろうし、逆に言えばこういう時でないと一生行かないような場所だから、できる限りはっちゃけようではないか。


 そして4時間後に飛行機はサンフランシスコ国際空港に着陸。時差もあって現地の時間は確か朝の9時である。

 そういえば乗った飛行機は小型機な上にけっこう空席が目立っていたので、入国審査の列はガラガラだった。
 手招きでぼくを呼んだ入国管理官は、明らかに中国系。さすがアメリカで最大規模のチャイナタウンがある都市だ。ここはチャッチャと終わってほしいところだ。

 パスポートを見せたり指紋を登録したり写真を撮られたりした後に入国目的とか滞在期間を聞いてくるのは当たり前だが、なぜかこの入国審査官の質問はそれだけにとどまらない。メキシコから来たことがわかると、メキシコの滞在期間はもちろんのこと、向こうでの過ごし方とかスペイン語の習得具合など、余計なお世話としかいえない質問を根掘り葉掘り聞いてくる。しかしよくよく考えてみると、メキシコ人の不法入国が社会問題となっているアメリカでは仕方のないことなのだろう。

 そしてやりとりは佳境に入った。
 入:「で、Youの仕事は?」
 ぼく:「(厳密には違うけど面倒だから)Employeeですが」

 こう答えたら管理官の顔色が変わった。

 入:「そういうことを聞いてんじゃねえ。そんなこと言ったら俺もEmployeeになっちまうだろ?」

 ぼく:「…はあ」
 入:「kind of businessを聞いてんの!」

 メンドクセーと思いつつ、
 「……じゃあデザインの仕事ということで」

 と答えるとヤツは目を輝かせて、

 入:「Youはデザイナーか? 何のデザインやってるんだ?」
 ぼく:「(厳密には違うけど面倒だから)グラフィックかな」
 入:「Really? じゃあもういいぞ。Have a nice trip」

 とりあえず入国審査は無事完了したが、何故デザインが決定打になったのだろうか

 ちなみに上記のやり取りはすべて英語だったのだが、どうやらぼくの語学力でも何とかなりそうだな。半分くらいは聞き流してたけど。


 荷物をピックアップしたら、一服がてら外に出る。
 いやー、それにしてもSFは日差しが強い
 メキシコも日差しは強かったが、それとは違う種類のUVが肌を刺激する。それでいて空気はかなり乾燥しているから、陽気はかなりカラッとしているではないか。

 さて、まずはここからホテルに向かわなければならないのだが、さすがに土地勘も語学も心もとないSFで行き当たりばったりの宿探しはできるはずはないので、出発前にユニオンスクエアとかいうダウンタウンのホテルを予約済みである。
 で、空港からはいくつかの交通手段があるようだが、どうやら「シャトル」という乗合タクシーはドア・トゥ・ドアでホテルまで送ってくれるらしく、値段も20ドル以下なので今回はシャトルを利用するとしよう。


 とりあえず案内所に相談し、何とかシャトル乗り場らしき場所を発見。
 ウロウロしているとまた中国系らしき小柄なおっさんに呼び止められた。どうやらこの人がシャトルの運転手のようだ。早速ホテルの住所を見せると、「OK, Come on」ということになったので、荷物をトランクに入れてすぐに乗るよう促された。

 とりあえず後部座席に座ったが、シャトルの場合は定員数分の乗客が集まるまでは出発しないのでドライバーはまだ他の客を待っている。しかしなかなか客が来る気配はなく、しばし車内には沈黙が漂った。
 この空気に業を煮やしたのか、彼は英語でぼくに話しかけてきた。

 運:「You はジャパニーズか?」
 ぼく:「……そうだけど」
 運:「そうか、実は俺もジャパニーズだ」
 ぼく:「……ふーん、そうなんだ」
 運:「……」
 ぼく:「……」
 運:「ハッハッハ、冗談だよ。 俺はチャイニーズだ」


 そんなの最初っからわかってんだよ!
 そのメガネ・出っ歯・のっぺりフェイスの3連コンボはどう見てもTHE・チャイニーズだろうが?
 ついでだから教えてやるけどな、日本人は海外で日本人に話しかけるときはほぼ100%の確率で「日本の方ですか?」って言うのが暗黙のルールなんだよ!

 そんなブルシットなジョークでかなり機嫌が悪くなったものの、今なお他の乗客は来そうにない。その後もしばらく待っていたが、ドライバーはここでこれ以上待ってても仕方がないと判断したのか、ぼくを乗せたまま国内線の方のシャトル乗り場へ移動した。結果的にこの判断は正しく、乗り場に着いて10分もしないうちにネイティブの乗客が次々とやってきた。さすがはベテランだ。

 車内も満員になってきたのでもう出発してもよさそうなものだが、ドライバーはさっきから携帯で仕事仲間と大声で連絡を取り合っている。しかも英語が大して分からないぼくでもわかるほど強い中国訛りなものだから、乗っている他の客もちょっと失笑している。
 まあそれは別にいいのだが、彼と顔つきが近いからと言って全員でぼくの顔を覗きこむのはやめていだけないだろうか。アンタ方には区別がつかないかもしれないだろうが、ぼくはヤツの同胞ではないし同類ではないのだよ。


 そしてシャトルは空港を出発。しばらく走るとハイウェイに入っていった。
 ここでぼくはのどが渇いたので手持ちの水でも飲もうかと思ったが、何らかのアクシデントで隣のオバサンに水をこぼそうものなら、後に訴訟で5000万ドルくらいブンどられかねないのでやめた。こういう心配が頭をよぎるのもアメリカならではだろう。

 さらにしばらく走ると、シャトルはハイウェイを降りて市街地に向かった。
 このあたりになると人口密度もかなり高まり、高層ビルや高級ホテル、有名なアパレルショップなどが待ちいったいに軒を連ねている。恐らくユニオンスクエアももうすぐだろう。

 そう思っていたらシャトルはどうやらユニオンスクエアに入り、その一角の道路脇で停まった。
 するとドライバーは「You」とぼくを指差した。どうやらホテルに着いたようだ。トランクから荷物を降ろしてからお金を払うとシャトルは颯爽と走り出し、あっという間に視界から消えた。

 ともあれ遂にサンフランシスコに着いたわけだが、一つだけ気にかかることがある。


 ……さて、予約したホテルはどこでしょう?


 この町並み、この雑沓、この通行人の数は確かに『地球の歩き方・サンフランシスコ編』で見たユニオンスクエアだ。しかし、周囲を見渡しても予約したホテルの看板が見当たらないではないか。


 仕方がないのですぐ近くにあったホテルのフロントに道を聞いてみる。

 「エクスキューズミー、アイムルッキンフォー○○ホテル」
 「ああ、そのホテルはもう1ブロック先だね」
 「サンキュー、サー」


 フロントの言うとおり1ブロック先まで歩いてみたら、本当にホテルの看板が見えた。



 ……あの、クソチャイニーズドライバーが!
 中途半端な場所で降ろしてんじゃねーよ!



 サンフランスシスコもメキシコ同様、のっけからケチがついてしまったが、これからどうなることやら。




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テーマ : アメリカ旅行
ジャンル : 旅行

tag : サンフランシスコ旅行記 サンフランシスコ San_Francisco サンフランシスコ国際空港 ユニオンスクエア Union_Square Tacos_de_Chorizo タコス・デ・チョリソ

<番外編>San Francisco(サンフランシスコ)旅行記#2-新婚夫婦の主張

現在位置
サンフランシスコの位置(クリックで大きくなります)



 何だかんだあったが、とりあえずは予約しておいたユニオンスクエアのホテルに到着。
 因みにこのホテルは出発前に世界のユースホステル情報サイトで見つけ、大して何も考えずにただユニオンスクエアにあるというだけで選んだのだが、ビジネスホテルに毛が生えた程度のグレードな上、テレビもなければ窓の景色は隣のビルの窓一枚という環境で一泊70ドルと値段は、未だメキシコの金銭感覚が残っているぼくからすればすごく高く感じる。あっちなら4つ星ホテルに泊まれる金額と思うと、何だか釈然としない。
 まあ金額に関しては最初からわかっていたから仕方ないとしても、まさか全室禁煙だとは知らなんだ。愛煙家からすれはかなり痛いが、ここは禁煙大国・アメリカと考えれば仕方ないことなのだろうか。

 ともあれ、時間はまだ正午くらいなので時間はたっぷりある。早速サンフランシスコを観光しようではないか。
しかしその前に、現在位置を把握しなければならない。
 早速持参した『地球の歩き方・サンフランシスコ編』にあるユニオンスクエアの拡大地図でここの住所を照らし合わせてみる。


 ……うーん、このマップじゃよくわかりません。


 というわけで、ここはフロントに相談してみよう。


 「Excuse me, do you have any map?」

 思いっきり日本訛りの英語でこう尋ねたらカウンターの下から幾重にも折り重なった地図を渡してくれた。広げてみたら、一面にユニオンスクエア全体がかなり細かく描かれているではないか。
 しかしこれでもピンとこなかったので、“現在地をこの地図であらわすとどのあたりになるのか?”という意味で、広げた地図を指して「Where we are?」聞いてみた。


 するとフロントは少し沈黙した後、地面を指差してこう答えた。

「……We are here」


 だからそういうことじゃねーよ!


 しかしフロントはすぐ状況を理解してくれて、ボールペンで現在位置をマーキングしてくれた。このあたりはSan Miguel de Allende のフロントとは違う。


<※サン・ミゲル・デ・アジェンデのフロントの対応はコチラの前半を参照>

 さて、サンフランシスコといえば、何と言ってもケーブルカーだ。
 ハワイに行ったら海で泳ぐように、ラスベガスに行ったらカジノに興じるように、疲れ気味のOLは決まってしば漬けが食べたくなるように、サンフランシスコではケーブルカーに乗るのが王道だ。地図で調べたらけっこうすぐ近くにチケット売り場があるようなので、まずはそこを目指す。

 そして約5分後に発着点らしきポイントを発見。しかもすぐ近くにチケット売り場があったので、早速券を購入してから列の後ろに並ぶ。

ケーブルカー(クリックで大きくなります)
ケーブルカーとしか言いようのないケーブルカー

 並ぶ前からけっこうな長さの列ができていたので、ケーブカーに搭乗できたのは約30分後だった。
 何でもここには複数のケーブルカーが運行しているらしいが、これはどこまで行くのかは正直よくわからない。聞くところによるとどこで降りても値段は一緒らしいので、とりあえず終点まで行ってみよう。

ケーブルカー後部から見える景色1
ケーブルカー後部からの景色3
ケーブルカー後方から見えるサンフランシスコの景色。



 ちんたら走るケーブルカーに揺られて着いた先は、なぜか海だった。どうやらここはFisherman's Wharf(フィッシャーマンズ・ワーフ)とかいう港らしい。

フィッシャーマンズワーフの看板
フィッシャーマンズ・ワーフの看板。別にケーブルカーがここの目の前に着いたわけではない。


 海とはあまり縁のない場所で生まれ育ったぼくからすれば、海というだけで新鮮な気分を味わえるので、適当に散策してみよう。

 当てもなく散策してみようと歩いていたら、早々にレンタサイクルショップを発見。
 近所をビーチサイクルで走るというのもおのぼりさんらしくてオツな気がしてきたので、まずは話を聞いてみることにした。何か、『ぶらり途中下車の旅』の阿藤快になった気分だ。

 するとバイトらしきパツキンのお姉ちゃんが出てきて、貸出しの手順とか規約みたいな説明を始めるのだが、はっきり言ってぼくは英語がよくわからないので何を言っているのかがほとんど理解できない。
 とりあえず説明の端々で「Security」とか「Key」とかの単語は認識できたので、「停めるときはちゃんと鍵をかけろ」とか「紛失したら実費を払え」とか言っていることにして間違いはないだろう。まさかこの状況でシステマティックリスクにみる経済的規制緩和の効果に関する実証研究とかを語るはずもないだろうし。
 
 その後もけっこうな時間をかけて説明してもらい、最後に「any question?」と聞かれたが、「基本的には全部ですが?」とも言えるはずもないので、「No problem」と答えておいた。そして申込書みたいな書類にクレジットカード番号とかサインを書きこんだら、いざサイクリングだ。

 燦々と照りつける太陽と穏やかな潮風を浴びながら、フィッシャーマンズワーフ周辺を颯爽と走る。実に優雅で健康的ではないか。しばしの間浮世を忘れ、一心不乱にペダルを踏みしだく。

 そして30分も適当に走った頃、ぼくは思った。


 もう、いいや。


 ここのシステムでは別に範囲が決まっているわけではなく、お金と時間が許されればかなり遠くまで行ってもいいみたいなのだが、サンフランシスコはどこも急勾配で平地なところは海辺周辺しかないし、仮に遠くまで行って迷子になったり盗難にあったら気が気じゃないし、要はこのあたりをちょっと走りたかっただけなので、この程度で十分だ。

 というわけですぐに自転車を返したのだが、30分程度でレンタル料が約20ドルというのは、いくら観光地フィーが発生しているとしても暴利なのではなかろうか。

 その後は徒歩でけっこうな時間をかけてぶらぶらしたり、海を見ながらボーっとしたりしてみたが、そろそろ飽きてきたのでとりあえずユニオンスクエアに戻るとしよう。

 帰りのケーブルカー乗り場に行くと、これまた長蛇の列が出来上がっていた。乗れるまでに最低でも小一時間はかかりそうなほどの行列だが、仕方ないので並ぶことにした。

 しばらく並んでいたら、後ろから日本語が聞こえてきた。振り返ってみると、そこにいたのはぼくと同世代らしきカップルで、「あーあ、帰ったら仕事か」とか「部長のお土産何にする?」という会話をしていた。恐らく新婚旅行で来たのだろう。

 それはそれとして、行列は思いのほか進まない。気がつけばぼくの後ろにもかなりの長い列が出来上がっていた。
それを見てか、チケット係の人が大声で何やら説明をし始めた。

 もちろん全ては理解できなかったが、どうもここの近くにもユニオンスクエアへ行く別のケーブルカー乗り場があるから、急いでいる人はそっちに行けと言っているようだった。それを聞いた大半の人はそっちへ移動したが、ぼくは別に急いでいなかったからそのまま並んでいた。その新婚夫婦も、かなりの人数が移動したものだから行こうか行くまいか悩んでいたようだが、結局このまま待つことにしたようだ。

 しかしその説明はその一回だけだったので、人がはけたのはほんの一時的だった。数十分も経つと、やはり長蛇の列ができていた。
 そんな光景を見てか、嫁の方が旦那に話しかけた。

 嫁:「何か、こういうの見ると安心するよね」
 夫:「え? 何が?」
 嫁:「自分の後ろに誰も並ばないと“ここでいいのかな?”って不安になるじゃん」
 夫:「うん」
 嫁:「でも誰かが後ろにいると “やっぱここに並んでて良かったんだ”って思わない?」
 夫:「あー、そうね」
 嫁:「時々、最初から最後まで自分が列の最後尾だったってあるよね(笑)」
 夫:「あー、あるねー(笑)」
 嫁:「でしょ?」
 夫:「俺なんかそんなことしょっちゅうあるよ」


 ……え? そんなことしょっちゅうあるか?
 嫁もそのことには特に触れなかったところを見ると、世間ではそういうことはファミリー4コママンガのオチくらい日常茶飯事なのか?

 
 ……と、心中では一切共感できないあるあるネタにモヤモヤしていたら、並んでから何台目かのケーブルカーが到着した。
 因みに方向変換はかなり原始的で、360度回転するターンテーブルに車輛を乗せて、係員が数人がかりで本体を押しながら進行方向を変えていた。

ケーブルカーを方向変換する様
このように手動で方向を変換する。


 すると旦那が鞄からビデオカメラを取りだした。きっとこの様を録画して友人や同僚に見せたいのだろう。
 まあ、それはいいのだが、

 「今サンフランシスコでーす。ケーブルカー乗り場にいまーす。ご覧のとおり、たくさんの人が並んでまーす」

 とセルフナレーションを入れながらカメラをぼくのいる方向に向けるのはやめていただけないだろうか。不可抗力でも人の思い出に記録されるのは好ましくないもので。

 で、何だかんだで90分は待ってようやくケーブルカーに乗れたので、そのままユニオンスクエアに戻る。
 すぐにはホテルに戻らずに、今度は適当にスクエアを散歩する。


 そういえばさっきまで頭上から照らしていた太陽も徐々に沈みかけ、もうすぐ日が暮れようとしている。
 そのせいか、何だか急激に寒くなってきた

 乾燥した気候とはいえ昼まではかなり暑かったので、半そで・短パン・サンダルという欧米人旅行者の鉄板コーディネートで行動していたが、とてもじゃないがこれ以上で出歩くのは厳しすぎる。なのでここは一度休憩がてらホテルに戻って、ジャンパーとGパンに着替えようではないか。

 そして部屋に戻り、ちょっと体を休めるためにベッドに横たわったらいつの間にか眠ってしまったようで、気が付いたら時計の針は深夜1時を指していた。

 確かに今日は入国を含めて移動や自転車で体力はかなり使ったが、それを差し引いても我ながら寝すぎである。
 当然ながら、こんな夜中にアメリカの大都会を一人歩きしようものなら悪い人に捕まって香港に売り飛ばされるのは目に見えているので、初めてのサンフランシスコの夜は二度寝という有意義な方法で満喫することとなった。





テーマ : アメリカ旅行
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<番外編>San Francisco(サンフランシスコ)旅行記#3-アメリカの最新お風呂事情と絶品グルメスポット

現在位置(クリックで拡大します)
サンフランシスコの位置(クリックで大きくなります)




 昨日は夕方から深夜にかけて爆睡してしまったため、二度寝を決め込み朝の8時くらいに改めて起床。
 とりあえずは体を洗いたいので、まずはシャワーだ。ここのホテルはユニットバスになっていて、トイレの横には人一人が十分横たわれるだけのバスを完備しているのだ。

 ところが、いざ使おうとするもいまいち使い方がよくわからない。壁につけられたレバーをひねると蛇口からはお湯が出るのだが、シャワーに切り替えるスイッチみたいな器具がどこにも見当たらないではないか。
 早速フロントに聞いてみると、「蛇口の先を引っ張るとシャワーに切り替わる」と言うので見てみたら、確かに切り替えるツマミらしき器具は見つかった。しかし、引っ張ってみても左右にひねってみても、一向にお湯は蛇口からしかでない。

 こりゃ困ったなと思ったらちょうどベッドメイクのおばさんが部屋の前を横切ったので、「Excuse me. I don’t know how to use shower」と少ない語彙を駆使して使い方を聞いてみた。

 するとそのオバサンは得意げな表情を見せながら、

 「OK, This  is tricky!」

 と、バスルームまで来てくれた。それはそれで助かるのだが、のんきに“Tricky”とか言ってんじゃねーよ!

 しかし、この手の対処には手慣れているはずのオバサンをしても事態が好転する気配はなく、相も変わらずお湯は蛇口からしか出ないままだ。
 これ以上やっても埒が明かないと思ったのか、オバサンはタオルで濡れた手を拭きながら部屋の電話でフロントと相談し始めた。

 そして数分後。
 オバサン曰く、フロントの人は

 「今日はまだオーナーが来てないから I have no ideaだ!」

 
雇われならではのご意見でうやむやにしたいらしく、オバサンとしてもやるだけのことはやったという自負はあるようで、要約すればあきらめろというのがホテル側の総意のようだ。


 ……この役立たずどもが!



 と憤ったところで事態が変わるはずもないのだが、それでも体は洗いたい。
 というわけで効率的な方法を自分なりに考えた結果、以下の工程しかないという結論に至り、実行に移した。

 Phase:1 湯船にお湯を張る。

 Phase:2 ウシジマくんに折檻されたセンターT君のように仰向けになり、全身を浸す。
 Phase:3 立ち上がって体を洗う
 Phase:4 また仰向けになって湯船に体を浸し、泡を落とす
 Phase:5 お湯を捨て、新たに湯を張りなおす
 Phase:6 そのお湯で頭を洗う



 ……それにしても、たかがシャワーで大掛かりすぎだ!


 仮に開発途上国の安宿ならこういう事態になっても仕方がないと思えるが、ここは世界一の大国・アメリカ合衆国であり、国内有数の大都会・サンフランシスコにある一泊70ドルの中級ホテルだ。しかも、正規の料金を支払っておきながら正規のサービスを受けられないのは明らかにホテル側に過失があるわけで、利用者であるぼくからすれば実に不公平だ。この国では自己主張をしないと競争から脱落するお国柄なので、泣き寝入りするわけにはいかない。何か手段を講じなければ。

 そこでぼくはシャワーを浴びた後に、ここが全室禁煙と分かっていながら腹いせに部屋で一服してやることにした。

 しかし、ベッドルームに煙探知機とかが付いていたら逆に6兆ドルくらい損害賠償を請求されかねないので、バスルームの窓越しで敢行するとしよう。
 早速窓を開けようとしたら、サッシの隙間に前の客が吸ったらしき吸い殻を発見した。どうやらこのアイデアは斬新ではなかったらしい。尤も、この人の場合はぼくと同じ目にあった腹いせなのか、単純にルールを守れないうつけ者なのかは分からないが。

 兎にも角にも色々な意味でさっぱりしたところで、まずは朝食だ。

 実を言うとぼくはけっこうなアメリカのジャンクフードやソフトドリンクが好きで、味や見た目が毒々しければ毒々しいほど好ましいという嗜好を持っている。もちろんファストフードも例外ではなく、アメリカに来たら日本にはないファストフード店で食べることは渡航前から決めていたのだ。
 で、ホテルから数ブロック離れたところに「Carl’s Jr」というファストフード店があることは昨日の散策でチェック済みなので、まずはそこへ向かう。

カールスJrのロゴCarl’s Jr(=カールス・ジュニア)
星のマークでお馴染みのハンバーガーチェーン。西海岸エリアを中心に出店しており、アメリカ国内の店舗数は5位。因みにメキシコにもあるが、マクドナルドやバーガーキングほど店舗数があるわけはないので知名度は不明。他では東南アジアやロシアにもあるらしい。それにしてもこの女は、ハラペーニョ入りのようだから食って汗ばむのは仕方ないとしても、わざわざハンバーガーを食べるために1人でドライブインシアターに来たのだろうか。



 本来なら、昨日見つけた時点で入ろうと思ったのだが、その時は入口の前にアメリカン・バッドアス時代のアンダーテイカーみたいな怖そうな人が長々とたむろしていたので、利用できなかったのだ。なので今朝はそこで食べることにした。

THE UNDERTAKER(ジ・アンダーテイカー)
世 界最大のプロレス団体・WWEに所属するレスラーで、団体をビッグビジネスにまで押し上げた最大の功労者の一人。選手の入れ替わりが激しい世界でありなが ら同一キャラで20年以上もトップに君臨し続けている重鎮で、上層部からはもちろんのことレスラー仲間からも一目も二目も置かれている。基本的には Deadman(=墓堀人)という怪奇派キャラだが、一時期だけハーレーを乗り回す不良中年キャラで試合に出ていた。これもこれで大ヒットしていたため、 またこっちへのキャラチェンジを熱望しているファンも多い。要は、店の前にこんな感じの人がいたわけだ。身長203cm,体重135kg,1965年3月 24日生まれ。



 早速カウンター上のメニュー看板を見てみると、「Breakfast Burger」なるものを発見。写真はろくすぽ見なかったが、“Breakfast”を名乗っているのだから、反射的にオムレツサンドみたいなものに違いないと判断したので、とりあえずこれとホットコーヒーを注文しよう。

 数分後に店員から渡されたのだが、どうも実物はぼくが思ったものと違っていた。


Carl's Jrのブレックファストバーガー



朝からこんなもん食えるか!


 まあオムレツに加えてパティ・チーズ・ベーコンだけでなくナゲットまで挟んであるのである意味夢のコラボには違いないが、これをBreakfastとして提供するあたりは、さすがメガ食いの発祥地・アメリカだ。ていうか、ここの経営者もアメリカ人も味覚がバカなんじゃねーの?

 予想通り、最初の数口は美味いが7口目以降になるとさすがに飽きるし、何よりも胃が受け付けない。原材料を生産している方や生まれながらにひもじい方々には申し訳ないが、ぼくは生まれて初めてハンバーガーを残した。
 そして、さっきから近くのテーブルで終始無言のままコーヒーをすすっている中国系と東南アジア系のオッサン二人組にガン見されるという居心地の悪さもあり、早々に店を出た。

 さて、そんな優雅な朝食を終えた後は、ユニオンスクエアの少し外れにある「Cartoon Art Museum」という博物館に行くことにした。
 いわゆるCartoonではないが、個人的にTweetyとか『King of the Hill』とか『Southpark』あたりのアメリカアニメがけっこう好きだったりするので、こんなテーマの博物館は面白そうだ。

カートゥーンアートミュージアム
Cartoon Art Museum(=カートゥーン・アート・ミュージアム)
マイティマウスのイラストが目印の博物館。その名の通りアメリカのマンガの歴史を扱っている。



 実際に展示物を見てみると、創業当時に描いたであろうディズニーキャラのラフスケッチとかはあったものの、大半は戦前の新聞に連載されていたっぽい4コマ漫画とか風刺の一コマ漫画とか『ピーナッツ』の挿絵ばっかりだったので、少々期待外れだった。
 例えるならば、日本アニメ好きの外国人が日本のマンガを展示している博物館があることを知って、てっきり鳥山明とか高橋留美子の作品が展示しているものと思って行ってみたら植田まさしとか平ひさしの作品しかなかったようなものだ。
 しかしグッズ売り場はけっこう面白く、『NARUTO』『火の鳥』『きりひと讃歌』『美味しんぼ』などの英語版コミックや、『らき☆すた』のソフビ人形が売っていた。

 さて、博物館を後にしたものの、正直これといってすることがなくなった。
 とりあえずガイドブックでめぼしい場所を探すも、ノブヒルとかいう高級住宅街にはあまりピンと来ないし、世界最大のチャイナタウンと言われても“わざわざアメリカでチャイナタウン?”な気もするし、日本人街もあるようだが心境としては“いや、別に……”だし、ユニオンスクエアはどうも貧乏人がうろつくところではないようなので、居場所がない。


 というわけで昨日同様、またケーブルカーでフィッシャーマンズワーフに行くことにした。ぶっちゃけ、あそこですべきことは昨日に全てしたつもりだが、ケーブルカーのチケットは通し券で買ってしまったので、元を取るために行くとしよう。

 そしてまたフィッシャーマンズワーフに到着。相変わらず今日も観光客であふれている。
 とりあえず散策してみたら、クルーズとかアルカトラズ島見学みたいなイベントはあるようだが、何か今回の旅とは方向性が違う気がするので触手が伸びない。
 あてどもなく歩いていたらいつしかメインロードから少し外れたところを歩いていて、その一角に小さな中華系の食堂を見つけた。店の前に置かれたメニュー看板を見てみると、「SEAFOOD NOODLE」という文字が大きく書かれている。
 そういえば旅行をして以来、ラーメンを食べていない。厳密に言えば数週間前にSan Miguel de Allende(=サン・ミゲル・デ・アジェンデ・以下SMA)のユースホステルで別の客が作った塩ゆでしただけの不味くも美味くもないヌードルは食べたが、あんなものは論外だ。

>SMAのヌードル話はコチラの後半を参照<


 そしてよくよく考えてみると、港町で出すシーフードなら麺の上に新鮮なカニやエビが贅沢に盛られていてもおかしくない。この時は中途半端に朝食を食べたことで脳が空腹神経をMAXに刺激していたので、口の中からヨダレがイグアスの滝の如く溢れてきた。昼食はこれで決まりだ。

 早速店の中に入るも、入った時間帯はここのランチタイムにもかかわらず、誰一人客がいないのはとても気になるが、既に自己欲求の制御は不可能だ。頭の中でQUEENの『Don’t stop me now』を流しつつ、店員に「One seafood noodle right nowだ、コノヤロー! さっさと作りやがれ!」と伝える。

 そして数分後に出てきたのだが、どうやらこの店の言うシーフードとは冷凍のカニカマとカマボコのことらしく、要はアメリカの中華特有の“無駄に太麺で変に固くて雑に塩っ辛いスープ”でお馴染みの塩ラーメンだった。これで値段が8ドルというのだから、ある意味振り込め詐欺より悪質だ。そして、それでも久々のラーメンというだけで完食してしまった自分が憎い。写真に撮れば良かった。

 とりあえず腹は満たされたので外に出たが、さてこれからどうしたものか。
 時間はまだ昼の3時ごろだが、能動的にすべきことが見つからない。
……もしかしたらここに2泊もいる必要はなかったか?




テーマ : アメリカ旅行
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<番外編>San Francisco(サンフランシスコ)旅行記#4-アメリカのタバコ事情と絶品グルメスポット2

現在位置(クリックで拡大します)
サンフランシスコの位置(クリックで大きくなります)



 とりあえず今日は昨日と同様フィッシャーマンズワーフに来て、適当な作りのシーフードヌードルにつかまされて苦々しい思いをしたものの、この後能動的にすることが特に思いつかない。これが誰かと一緒なら片割れが何かしら提案してくれそうなものだが、何せ一人旅は全てにおいて自分次第なので、こういうときは非常に困る。

 なので適当に歩いていたら、ちょうど海岸にたどり着いた。
 世間では、やけになって夜の町を歩くと必ず不良集団の一人と肩がぶつかり、挑発的な態度を取ればもれなく路地裏に連れて行かれて袋叩きにされるように、独りで海岸に行ったら物思いにふけりながら海を見ることになっている。ちょうど今のぼくの状況が一致しているので、ついでにここで物思いにふけるとしよう。


フィッシャーマンズワーフの海岸
こんな海を見ていた



 絶え間なく聞こえる波の音や、近くではしゃいでいる子供の歓声、町の雑踏の音に耳を傾けつつ、たまたまポケットに食べかけのピーナツ袋があったので砂浜に投げてみる。すると一目散に鳥が集まってきて、ピーナツを奪い合っている。


ピーナツ目当てに寄ってくる鳥
ピーナツ目当てに寄ってくる鳥とありつけなかった鳩

 

 因みに物思いに耽っている間は本当にただ耽っていただけなので、せっかくだからSFのタバコ事情を書いてみる。

 ぼくはここに来るまで、アメリカは世界で最も禁煙運動が進んでいる国の一つだと思っていた。実際に利用しているホテルは全室禁煙だし、条例だか法律で公共の建物内での喫煙は禁止されているとも聞いた。

 そしてガイドブックには、
 「アメリカは禁煙が進んでいる国なので、タバコには非常にうるさいです。特に、くわえタバコで街を歩くことはとても恥ずべきこととされています。無用なトラブルを避けるためにも、タバコは決められた場所で吸いましょう」

 というようなことが書いてあったので、ぼく自身も自分なりにマナーを重視していたつもりで行動していた。携帯灰皿は常に持っていたし、吸う時は出来るだけ人の少ない場所に移動することを心がけていた。尤も、たかがタバコのためにそこまで気を使うことに馬鹿馬鹿しさすら感じたので、むしろ必然的に本数が減っていたくらいだ。
 もちろん、ホテルのシャワーの件での腹いせは例外であるが

 しかし、自分なりの感想を言わせていただくと、ここでの喫煙マナーやルールは大して守られていないし、喫煙率は思ったほど低くないということだ。

 歩きタバコに関しては、はっきり言って何度も見かけた。これが一定の人種や立場の人間に限られている行動ならともかく、旅行者だろうとビジネスマンだろうと、一定のカテゴリーだけに見られる光景ではなかった。
 それに、「決められた場所で吸いましょう」みたいな文言がある割には、日本の都心の駅前みたく灰皿が置いてあるわけでもないし区間が決まっているわけでもない。もちろん日本に比べれば少ないかもしれないが、ガイドブックに堂々と書くほど徹底されているとは思えない。

 そして喫煙率に関しての根拠だが、吸殻が割とやたらかしこに捨ててあるというのもそうなのだが、はっきり言ってここでの“タバコせびられ率”がかなり高いのだ。
 前述の通り、ぼくは外で吸いたくなったら比較的人の少ない場所に移動していたが、路地裏だろうと広場だろうと公衆の面前で吸おうものなら、3回に2回の割合で見知らぬ誰かが近寄ってきては「Hey, give me one cigarette」とねだられている。

 何故彼らがこうもねだってくるかは、全てお見通しだ。
なぜならここのタバコは1箱5~6ドルくらいするので、誰かにタダで貰った方が安上がりだからだ。

 ぼくとしては、さすがにそこまでのボランティア精神はないのであげたくないのでいつも「No」と答えるのだが、大抵の人はすぐに諦めるものの中にはその熱心さを仕事に生かせと言いたくなるほどしつこく要求する輩もいるので、やむを得ずあげることもしばしばだった。しかもそういう奴に限って、もらったタバコがメンソールだと分かるとあからさまに嫌な顔をするので、ほとほとうんざりさせられているのだ。

 したがって、潜在的な喫煙率は決して低くないというのが結論だ。

 ……ところで、何ゆえ唐突にこのことを書いたかというと、今まさに知らない女の人から「私にもタバコくれませんか?」と言われ、物思いに耽っているところを邪魔されたからだ。なので、さっきから「いいえ」と答えているのだが、そのたびに彼女は「そんな、ひどい……」ローラ姫ばりのしつこさで何としてでもゲットしようとしている。

RPGの元祖・ドラゴンクエストIに登場する国王の娘で、魔物に囚われている。助けると「わたしを おしろまで つれてかえってくれますね?」と聞かれ、そこで「いいえ」を選ぶと「はい」を選ぶまで「そんな ひどい……。わたしを おしろまで(以下略)」の無限ループを繰り返す。連れて帰る途中に宿屋を利用すると、主人の会話がいつもと異なることでおなじみ。



 しかし、今ポケットに入ってる分はリアルにあげたくないのでバッグをまさぐったら、丁度いいのが見つかった。
 これはメキシコで見かけた珍しい銘柄のやつで、好奇心で買ったはいいがあまりにまずかったのでそのままになっていた湿気かけのタバコだ。
 これならいくらでもくれてやってもかまわないし、どうせ彼女も誰かにせびるくらいだから、見た目と味が最低限タバコだったら中身はブタクサでも問題ないと思っているに違いない。正に大岡裁きばりの解決策だ。

 一本を差し出すと彼女は嬉しそうに「Thank you」と言い、その場で自分のライターで火をつけた。
 その直後、彼女は明らかに「マズッ!」という表情をしていたが、はっきりいって知ったこっちゃない。


 さて、そろそろ物思いに耽るのも飽きてきたので、そろそろユニオンスクエアに戻るとしよう。
 とはいえ、ここで食べたメシがあの適当なシーフードヌードルだけというのもいささか問題なので、多少腹は膨れていてもフィッシャーマンズワーフならではの食べ物を腹に入れたい。

 そう思いながら再び歩いていたら、市場らしき場所でその場で食べられるシーフードが売ってるではないか。カニやシュリンプ、フィッシュ&チップスなど、種類はざまざまだ。
 そこでぼくは、紙カップにぎっしり詰まった茹でガニ&シュリンプをチョイス。これでさっきの忌まわしき悪夢(詳細はコチラの後半を参照)を帳消しにするとしよう。

市場で売っていたカニとシュリンプのやつ
市場で売っていたカニとシュリンプのやつ


 贅沢にレモンを絞り、チリソースをかけて食べてみる。


 ……。


 ……。


 ……5口くらいで飽きてきた。

 もともとカニ自体の味が淡白なので、この程度の調味料では味に変化がないし、そもそもこのカニ自体が大しておいしくない。 変に生臭いし茹で具合も大雑把だし、あまり新鮮とも思えないし。

 ふと隣を見たら、大柄なおっさんがビールを片手に、タルタルソースをたっぷり付けたシュリンプのフライをおいしそうに頬張っている。

 「ああ、やっぱり甲殻類はああいう食べ方がいちばん美味いよな。やっぱりあっちにすれば良かった」などとウダウダ後悔しつつ、ぼくはフィッシャーマンズワーフを後にした。


 そしてまたユニオンスクエアに戻ってきたわけだが、昨日と同様疲れがたまってきたので一度ホテルに戻って休憩を取ることにした。


↑時間の流れを表す線

 さすがにぼくもいい大人なので、昨日と同じ轍は踏まない。今回もちょっとうたた寝したが、まだ夜の8時くらいだ。
 とはいえ、相も変わらず夜のサンフランシスコを一人で歩くとゲイに貞操を奪われると信じて疑わないので、近所で最後の晩餐を楽しむとしよう。

 そういえば、ホテルの隣にはいつ通りかかっても行列が絶えない日本食のレストランがある。ここに来て以来まともな食事を摂っていないし、何だかんだ言っても世の中で一番うまいメシは日本食に決まっているので、ここで食べるのも悪くはない。

 しかし、今日に限って行列はいつもより長い上に、回転率が悪いようでなかなか進まない。いくら評判が良くてもメシのために長時間並ぶのは性に合わないので、別の店に変える。

 近くにはここ以外にもレストランはそれなりにあるが、どこも満員だったり外観だけでは値段と味がピンと来ないので、選びようがない。仕方がないので、“ Jack in the Box ”なるファストフード店が日本食レストランの隣にあるので、そこで済ませることにした。そのある意味これもアメリカらしくていいではないか。
 メニューを一通り見てみると、ハンバーガーやフライドチキンにまぎれてTERIYAKI BOWL」なるものを発見。


Jack in the boxのTERIYAKI BOWL
Jack in the Box
1951年にサンディエゴで創業したファストフードチェーン。アメリカ国内では西部を中心に進出しているとか。ハンバーガー以外にもサンドウィッチやタコス、スムージーなどもあり、メニューは豊富。公式サイトは
こちら



 見るからにマズそうなのは火を見るより明らかだし、アメリカのテリヤキが美味いはずがないのは重々承知なのだが、当時のぼくの頭は“米が食べられさえすればいい”という認識だったので、普通のハンバーガーセットと迷ったものの、とりあえずChicken Teriyaki Bowlを選んでみた。


 そして口に運んでみたのだが……、




 マッッッッッッズーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!




 何をどう調合したらこんなにマズくなるの?
 そして、何をどうやったらこの味で商品化しようって発想になるの?

 はっきり言ってこのマズさは、ぼくの想像力の限界をはるかに超えている!
 というか、今までの人生で食べたことのある食べ物の中でもぶっちぎりでマズい!
 やっぱりアメリカ人の味覚はバカだ!


 結局のところ、食事に関しては最後の最後まで煮え湯を飲まされたまま最後のサンフランシスコの夜は更けた。




テーマ : アメリカ旅行
ジャンル : 旅行

tag : サンフランシスコ San_Francisco ユニオンスクエア フィッシャーマンズ・ワーフ ローラ姫 Jack_in_the_Box TERIYAKI テリヤキボウル サンフランシスコのグルメ

<番外編>San Francisco(サンフランシスコ)旅行記#Final-さらば、亜米利加

本日の移動(クリックで拡大します)
サンフランシスコから日本へ





 さて、泣いても笑っても今日を以って現実逃避旅行の本当の最終日だ。

 今日は朝11時発の成田空港行きの飛行機に乗らなければいけないので、朝の9時には空港に着いていないといけない。確か空港からここに来た時は30分くらいかかったので、ホテルを朝8時30分には出なければならない。
 幸いにも今朝は思ったより早く目が覚めたので、最後の思い出に朝食がてら、朝のロイヤルスクエアを散策しよう。

 というわけで、このホテルの風物詩である大掛かりなシャワーを浴びてから、身支度を整えて外に出る。

 この町は一日の寒暖差がかなり激しく、昼は半袖Tシャツと短パンでも暑いくらいなのだが、朝晩は上着を着込まなければならないほど寒くなる。しかも空気が乾燥しているので、体感温度は気象庁が発表する数値よりも低く感じる。道行く人は厚手のジャンパーを着込み、ホットコーヒーを片手に歩いている。心なしか、各々の吐息が白く見えた。

 ちょっと余談になるが、サンフランシスコでもホームレスはそれなりにいる。古びた服にボーボーの髪の毛とヒゲという、いわゆるホームレスもいるが、体に障がいを持っている人とか、中にはこぎれいな普通の若者っぽい人も見かけた。

 そして個人的に特徴的だと思ったのは、たいていの人は何かしらの文言が書かれたプレートを首に下げていることだ。
 内容も様々で、単純に「Chenge」とだけ書いてあるのもあれば、

 「ご覧のとおり、私は事故で●●(体の部位)を失ったのでまともな仕事に就けません」
 と慈悲を誘うもの。

 「私はとてもかわいそうな人間です。あなたはかわいそうな人を見たら、何をしますか?」
 と、ちょっと恩着せがましい内容のものなど、実に多岐に渡っている。

 そんな中、ぼくは歩道に座っているホームレスに呼び止められた。しかしこの人はどこにでもいそうな普通の恰好をした女性で、とても生活に困窮しているとは思えない。

 「Youはどこから来たの?」
 「フロム・ジャパンだが、それが何か?」
 「ジャパン? ジャパンはベリー・インタレスティングな国よね」
 「ああ、さいですか」
 「Youはいつまでここにいるの?」
 「今日帰りますけど?」

  我ながらバカ正直に答えるのもお人好しだなと思っていたら、女性は「Youはこの文章読める?」と、首にかけたプレートを指差した。
 読んでみると、内容は概ねこんな感じだった。

 「●●(場所の名前)まで行きたいけど、旅費が足りないから小銭ちょうだい」


 いや、それは社会のせいではないだろう?


 善人を気取るわけではないが、相応の理由が理解できれば寄付を検討するものの、この人の場合は個人的な理由だからな。しかし、ぼくもつい立ち止まってしまったものだから去るタイミングを逃してしまった。

 「……まあ、読めますが?」
 「だったら私に小銭ちょうだい」


 いやいや、理解できるからあげるっていう理屈はおかしいだろ?
 ていうか、こっちの就労事情は知らないけどアンタは健康そうだから日雇いのバイトでもしろよ!

 ……と言いたいところなのだが、何せ英語は不得手なので口はもごもごしてしまう。そんなぼくを尻目に、女性はちょっとキレ気味にこんなようなことを主張した。

 「今日帰るんだったら小銭はもういらないでしょ? だったら私にちょうだいよ」


 いやいや、だからそういう問題じゃないんだって!

 相変わらず口はもごもごしっぱなしだったが、面倒なので「No」を連発しておいた。
 すると女性は、小銭は断念したようだがこんな代替案を出してきた。

 「じゃあ、タバコちょうだい!」


 だから、どの文節に“じゃあ”がかかってんだよ?


  はっきり言ってこんなやつにこれ以上付き合ってるヒマはないので、昨日のケースと同様湿気かけのゴミタバコを一本渡し、その場を後にした。


 さて、気を取り直して朝食と行きたいのだがぼくはここに来て以来ジャイアンシチューよりマズいものしか腹に入れていないほどここでの食事運が悪い。なので、最後ばかりは少しでも挽回したいところだ。
 とはいえ、まだ朝っぱらなのでオープンしている店は少なく、それこそCarl’s JrとかJack in the Boxしか開いていない(詳細はコチラの中盤あたりコチラの後半を参照)

 さすがに最後の晩餐でそこを利用するというのもアレなので別の店を探していたら、割と手頃そうなカフェを発見した。メニューと外観を見た限りでは、SUBWAYよりちょっと豪華なサンドイッチ屋といった感じだ。

 今回ばかりは外したくないので、その中から最も無難であろうスモールサイズのペパロニのサンドイッチと紅茶を注文したのだが、実際に食べてみると、パンもしっかりしているしペパロニの焼き加減もパンとのバランスも丁度いいのでそれなりに食べられる。大当たりと言うわけではないが、これまでの食事を考えてばかなり当たりの方だ。
 ただ、スモールでもスーパーの紙袋からはみ出る程度のサイズなので、とても完食できそうにないのが残念だ。それにしても、アメリカ人の満腹中枢ってどうなってんの?


 そして時計を見たら、そろそろ出発の時間だ。
 荷物を転がしながらロビーまで行くと、昨日手配しておいたシャトルは既にホテルの前で待っていた。すぐに荷物を預け、シャトルに乗り込む。因みに今回の運転手はおもしろジョークを炸裂するチャイニーズではなかった(詳細はコチラを参照)
 シャトルはユニオンスクエアを後にし、ここに来た時と同様ハイウェイに入る。遠ざかる景色を窓から見つめるぼくを横目に、シャトルは猛スピードで国際空港へ向かう。

 空港には想像より10分ほど早く着いた。おかげで搭乗手続きはスムーズに行ったのだが、その分時間を余計に余らせることになった。なので、両替所で換金し損ねていたメキシコペソのお札をドルに換金したり、レストランでコーヒーを飲んだり、外で一服したりして何とか時間をつぶす。

 そして時計を見たらもういい感じだったので、そろそろ出国ロビーに行くとしよう。

 ここではロビーに入る手前で、係員にパスポートと搭乗券を見せないといけない。後ろの列に迷惑をかけないためにも、こういう時は事前にパスポートと航空券を手に持っているのが旅行者としてのマナーだ。ぼくもバッグから出さなければ。


 ……ん?

 ……あれ?

 ……うそ?



 ……パ、パスポートがない!!!!


 いつも入れているパスポートケースの中に入ってない! バッグの中にもない! ポケットにもない! どこにもない! テレビもない! ラジオもない! 車もそれほど走ってない! 


 後半はちょっと狼狽してしまったものの、これはとても一大事だ。

 周知の通り、パスポートがなければ日本に帰れない。
 それどころか、まかり間違って悪い人に拾われたら悪用されかねないし、そうなったら後々大量のDMやSPAMメールが届く事態にもなりかねないではないか。

 ぼくは速攻で列からはずれて全身とバッグを改めて注意深く確かめるが、やっぱりパスポートはない。


 よくよく考えてみると、手元にある航空券はパスポートがないと発行してくれないので、ホテルに忘れたということは絶対にない。ということは、この空港のどこかにあるはずだ。
 とりあえず喫煙所・トイレ・レストランなど心当たりのところに片っぱしから行ってみるが、やはりどこにも見つからない。

 その間にも時間は刻一刻と過ぎる。時計を見たら、出発時間まであと30分を切っている。


 「もはやこれまでか……」


 ぼくは一人で途方に暮れていた。
 このままぼくはこの空港で、トム・ハンクスのようにカートを引っ張ったり床を掃除して帰りの旅費を稼がなければならないのだろうか?
 そんな覚悟が頭をよぎった時、久々にぼくのトンガリアンテナが発動した。


 そうだ、両替所に行こう!


 そういえば両替所はチェックしていなかった。
 確か外貨に換金する時にパスポートを見せたから、あるとしたらそこしかない。ぼくは速攻で両替所まで走っていった。

 「Excuse me, Do you know my passport?」

 こんな無粋な質問を係員にしてみたら、
 
 「ああ、もしかしてこれがYouのパスポートじゃない?」

 と、奥からライジング・サンを表現するクリムゾンレッドのパスポートを出してくれた。


 うぉぉーーーーーー! 正にそれです!
 このときばかりは、この係員が界王神に見えた。


 さあ、これで一安心……と言いたいところだが、喜ぶのはまだ早い。
 出発時間は残り数十分。すぐに出国審査を受けなければ!

 早速列に並ぶも、ただでさえ長蛇の列な上に荷物チェックもかなり厳重なものだから、なかなか列が進まない。この調子だと、ここを通過するのに早くて15分はかかるだろう。

 やきもきしつつも何とかボディチェックをクリアし、搭乗ゲートまで駆け足で向かう。この時点で残りは10分を切っている。

 少々迷いつつも何とか搭乗ゲートに着いたが、目の前の景色に唖然とした。

 ロビーに誰もいない!
 航空会社の係員らしき人が一人カウンターにいるだけだ。



 …やっぱり間に合わなかったのか?
 ぼくはすぐに係員の元に行って聞いてみた。

 「飛行機はもう飛んじゃいましたか?」
 「いえ、この便は1時間ほど出発が遅れることになりました」


  ……え?


 「それに伴って搭乗ゲートは●●番に変更となりました。出発までそちらの近くでお待ちください」


 この瞬間、ぼくは膝から崩れ落ちた。



 ……そして1時間後、ぼくは成田行きの飛行機に乗ることができた。



 兎にも角にも、これを以ってぼくの現実逃避の旅は終わった。
 特に危険な目にも合わなかったし、行動範囲も決して広くはなかったので若干ヌルい旅だったが、全般的には実に濃厚で、良い意味でも悪い意味でも予想外な出来事が連続した旅だったように思う。

 次があるのかはわからないが、これからはこうした旅を再びすることをモチベーションに生きるのも悪くない。


<了>






テーマ : アメリカ旅行
ジャンル : 旅行

tag : サンフランシスコ旅行記 サンフランシスコ San_Francisco Chenge サンフランシスコ国際空港 ホームレス

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800ランプ

Author:800ランプ
ルチャリブレがきっかけでメキシコに興味を持つ。
20世紀末、突然そのことを思い出しメキシコへ。民間の語学学校で言葉を学びつつ、運の良さも手伝って浮世を忘れるほどの生活を満喫。
以降も帰国してはお金を貯めては渡墨し、また帰国してお金を貯めては渡墨ということを繰り返していたら、社会のレールから脱落したので日本に落ち着く。
しかし先日、わけあって現実逃避もかねてまた渡墨。今回の日記はそのときのもの。

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